揺れる。春は揺れる季節だ。桜が咲き重くなった枝の先が、脱色して傷んだ毛先が、殴られた脳が、くしゃみした身体が、呼吸に合わせて揺蕩う腹部が、ざらついて不安定な心が。とにかく揺れています。
肉まんをつくったよ〜
表題の通りです。肉まんをつくりました。
友人の人生さんが新居へ引っ越し、そのまた共通の友人である乃(すなわち)さんと「遊びに行きたいね〜」と話していた事がきっかけ。我々は食への関心が強い。当日何をするかDiscordで相談し合った際、以下の選択肢が出た。
・せいろで蒸し物つくる
・バーナーで炙りまくりパーティ
・パンつくる(捏ね作業はホームベーカリー任せで成形→焼くだけ)
「もちろん外で何か買ってきてゆっくりお茶するでも、タコスなどのパーティするでも何でもOKです」とおっしゃった上で、『普段出来ないけど、お家で出来そうなことをやってみる』をテーマに人生さんが発案してくださった。ありがたい。すると、乃さんから「せいろで点心とか作るのいいですね…それこそホームベーカリー使ったら肉まんとかもできるのでしょうか…」という問いかけが。食い道楽界の天才だと思った。我々は議論するまでもなく、一番いい着地点を見つける事となった。
当日。40分ほど電車を乗り継ぎ、人生ハウスの最寄り駅へ。全員おちゃめ機能を搭載しているにも関わらず、思ったよりすんなり集合。(なお、数分の遅刻は誤差とします。)まずは買い出し。地元特化型のスーパーへ。行ったことのないスーパーは、エンタメに近い。
販促用POPを見るだけでテンションがあがる。謎の品揃えや安さにいちいち驚きながら、脳みそのクリエイティブな部分を3人で回転させた結果、下記4種類の肉餡を作ることになった。
街を見渡しながらのんびり歩いてるうちに、人生ハウスに到着。私は人様のお家に上がる機会があまりないので、とても新鮮な気持ちになりながらリビングダイニングにつながる扉を開けた。真っ先に対面キッチンが目に入る。「デカい!!!!!」と思った。普段手狭なキッチンで料理しているので、とても感動した。
人生さん私物のレシピ本をパラパラと開きながら世間話をして、少しずつエンジンを温めていく。まずは生地を醗酵させながら、具材を切るところからスタート。細かく決めてないにも関わらず、スムーズに役割分担ができた。まだ何も出来上がってないのに、この時点ですでに満たされた気持ちに…。また人生ハウスでは調理道具だけでなく設備が充実しており、ずっと「QOL」の3文字が脳にこびりついて離れなかった。
小さく切った野菜やハーブ類を、フードプロセッサーであれこれしたひき肉等と混ぜる。味付けについても「エスニックにはナンプラーですよね」「高菜は味ついてるからいらないね」など、会話をしながら決まる。おそらく『全員料理をするから』ということも理由の一つだろうが、ここまで滞りのないコミュニケーションは、結構珍しい気がした。ざっくり計画に沿いつつ、細かいことは雑談ベースで進められる場。心地がいい。いい友人がいて嬉しい。ちょっとだけ、誇らしくなる。
途中、乃さんが買ってきてくれたキャロットケーキやパンをつまむ。いろんな種類の小麦を摂取。こんな贅沢なことはない。また、初めてキャロットケーキを食べたが、あっさりしたスポンジとクリームのバランスが良くて、とても美味しかった。今後、2月18日はキャロットケーキ記念日にしようと思う。
そんなこんなでのんびりしている間に、生地はふっくらと大きく育っていた。「かわいいねえ」「丸いねえ」と愛でる。愛でた生地は小さく分けて平たく伸ばし、せっせと作った肉餡を詰めた。そしてオーブンレンジを使い、さらに醗酵させる。並んでいる様子をみて「そういや『君たちはどう生きるか』にこんなキャラクターいたな…。」と思った。
おしゃべりしてたら発酵も終わり、最終工程へ。ついに蒸していく。せいろに入れて、並べる。なんだかさっきまで赤子に対する愛しさに似た気持ちで見つめていたはずが、まるで一人前の大人になった我が子を見守る親のような感動を憶えた。
そういえば、蒸し始める前に乃さんが水を少し含ませた花椒の実に熱した油をジャーっとかけ、花椒油を作ってくれた。(治りかけとはいえ)私は風邪を拗らせており調理中はマスクをしていたのだが、不織布を通り抜けてスパイスのいい香りが届いたので、その場で小躍りした。黒酢と特製花椒油を合わせたタレにつけて食べる。正解の音がした。熱々できたてという多幸感に包まれる。高菜餡は私が考案したのだが、これが満場一致で好評。良かった〜。
リビングにて、人生さんの配偶者さんも交えて歓談。外はあっという間に暗くなっていた。楽しい時間ほど、はやく過ぎ去ってしまう。もしも友人と過ごした日曜日セレクションがあるとするなら、この日は絶対入っているだろう。外でご飯食べることはもちろん好きだけど、みんなで何かを作るという行為は、とても人間らしくて素敵なことだなと思った。
映画『哀れなるものたち』
2024-01-30
ヨルゴス・ランティモス監督『哀れなるものたち』(あわれなるものたち、原題:Poor Things)をみた。自ら死を選んだ女性が、とある事をきっかけに生き返り、『新たな人生』を歩む話。
『新たな人生』というのは、記憶喪失になってしまい…といったありふれた設定ではない。本当にゼロから築き上げるものだ。くるくると映る美しい画に対し、台詞や展開からはコミカルさが伺える。カメラワークもヘンテコ。急に寄ってみたか思いきや、魚眼レンズを用いて、ホームビデオのように主人公のベラを追いかけはじめる。それもまた、世界観に合っていて飽きなかった。モノクロからカラーに切り替わる所も、あまり違和感を感じることはなく楽しめた。なんならカラーグレーディングのパワーも相まって、ファッションやインテリア、さらに街の中の質感に対する解像度が上がってわくわくした。
でっかいパフスリーブのトップスに、ペチコートのみという装いで、力強く歩くベラの姿が非常に印象的。なんかもう、とにかくやりたい放題。思うがまま。好奇心に身も心も委ねて過ごす。そんな彼女も成長するにつれ、理不尽や感情の複雑さを知る。それらに自らを委ねたり、抗ったりもする。含まれている成分だけを掻い摘んでみると「よくある話」にも思えるが、自由と解放をテンポよく、痛快に描いた寓話だった。劇伴も様々な種類の弦楽器が鳴っていた。ハープのぽわぽわした音が好みで、とても楽しかった。
好きなシーンはたくさんあったけど、個人的にはダンスシーンでめちゃくちゃ笑いました。
そういえば全然関係ないんですけど。「スケープゴート」って言葉、まんま「贖罪の山羊」の意なんですってね。
memo September
日常のしょうもないこと、Twitterに書くではなくメモに残している。9月分を適当に放出します。
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何もかも嫌になる。嫌になるけど家に帰る。帰るしかない。吉祥寺駅のホームでアイコス吸ってる人いるのかとおもいきや、すごい勢いよく白いパピコ食ってるだけだった。
こんなきもちになるくらいなら!かみさまなんていないほうがマシに決まっとるやろが〜い!
車通りのない道の横断歩道を歩いている時、遠く向こうに赤信号がみえると「いま夜に馴染んでるな」とおもう。野良猫になったみたいな気持ちだねえ。
めちゃくちゃ音漏れしてる人の隣でシャザムしたら反応するかな。
「優しくない世界で輝くのはヒップホップのみだ」←音楽が魔法かどうかはさておき、私にとっては少なくともそうですね〜
交際人間(正しくは交際者)
アンビエント、スナップフォトなどは「半径その辺の」感ある。北村蕗聴きながら思った。
マクドナルドのプリプリエビプリオ。メニューに登場したのは、17年ぶりらしい。自分の17年前って自我すら芽生えてなさそうな気がするけど、当時10歳。超自我の塊だなと思った。
私と同じ歪み方をしたマンティス26を背負った人を見てうれしい。